氷と魔女《specialstory 完結》
「………真実を、知り…たけ、れば……」

ガハッ

血を吐いてもなお、お父さんは喋り続けた。

「まか、いに行け…
それと、これを……」

お父さんは震える右手を少し上げると、光を放つ。

光は、本の形になってゆく…


「この、書に…

女神の……は、ねを…

埋めれば……

真実が、分かる…………」



「お父さん!
やめて、死なないで!
いらない、こんな本いらないから!2人とも、死なないでえぇ‼︎」


私は泣きながらお父さんに訴える。

けど、お父さんは、血を口から出しながら…

笑った。
ぎこちないけど、確かに微笑んだ。

そして…


「お母さんも…おと、うさんも……お前を、愛してる…

たんじょ、うび……おめ…………」



そこでお父さんはもう1度血を吐くと…

綺麗な顔をしたまま、目を覚まさなかった。


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