サヨナラなんて言わせない
「先を読んで動いておくか・・・」

可能性は低いが、彼女がここに戻って来た時のことを考え行動に移す。
昨日会社に戻った際に持ってきた自分の財布だけを手にマンションを後にした。



十数分歩いて着いた先は大型のドラッグストア。
店に入り一直線に薬の置いてあるコーナーへと向かうと、その場で迷わず一つのものを手にした。

「あった。・・・・・懐かしいな」

黄色い小箱に入った風邪薬。
市販薬の中でも特に彼女に効き目があったものだ。
色んなものを試していく中で、これが彼女の体質には一番合っていた。
こうして具合が悪くなったときにはいつも俺が看病をしていた。

「・・・・よし、次だ」

途端に溢れ出てくる思い出を振り払うと、急いで他の場所へと移動する。

体温計に冷却剤、スポーツドリンク、必要だと思われるものを次々にかごに入れていく。
そうして薬局で買える一通りのものを手にすると、今度はその足でスーパーへと向かった。
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