サヨナラなんて言わせない
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あれからどれくらいの時間が経ったのだろうか。
傾き始めていた太陽はすっかりその姿を隠し、辺り一面は暗闇に包まれていた。
真冬に外でじっとしているなんてさすがに無理があるのか、
足元から凍り付くほど底冷えしている。
だが心だけは燃えるように熱い。
時折通行人が不思議そうにこちらを伺っているがそんなことは関係ない。
とにかく帰ってくると信じて待つしかない。
その強い想いを胸にただひたすら待ち続けた。
かじかむ手を擦り合わせていた時、遠くに人影が見えてきた。
涼子だ!!
はっきり見えないが直感でそう思った。
近付いてくるにつれ、その人物はフラフラと足元がおぼつかないことに気付く。
俺の体は意識せずに駆けだしていた。
はっきりと彼女の姿が捉えられるようになってきた頃、突然涼子は立ち止まり、何を思ったか180度向きを変え今来た道を戻り始めた。
「涼子さんっ!!!」
俺が彼女の名前を叫んだのとほぼ同時に、彼女はその場に膝から崩れ落ちた。