サヨナラなんて言わせない
「あの日はもうそれ以上無理強いするのは無理だと思った。だから一度家に帰ったんだ。そしてこの土日何度も彼女の家に足を運んだけれど・・・・」

それ以上続かない言葉を聞かずとも、カナは全てを悟ってしまっていた。

「・・・・私のせいだわ」

「それは違う!全ては俺が悪い。全部自分で決めたことなんだから」

真っ青な顔で泣きそうになっているカナに俺は大きくかぶりを振った。

「でも・・・」

「いいか。お前は俺の無理矢理なお願いに付き合わされただけなんだ。言ってみればお前も被害者だ。全ての責任は俺にある。今回のことだって、お前が言ったとおり記憶が戻った時点で欲なんか出さずにすぐに打ち明けてれば良かっただけなんだ。そうしなかったのは他でもない俺自身だ」

「司・・・・」

「涼子が俺を拒絶するのは当然のことだ。・・・でも、俺もこの3年を無駄に過ごしてきたわけじゃない。何としても話だけは聞いてもらう。どれだけ時間がかかったとしても・・・・俺は絶対に諦めたりしない」

はっきりとそう言い切った俺の姿にカナは驚いていた。
自分でも言葉に出しながら次々に溢れてくるこの強い想いに驚いていた。
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