サヨナラなんて言わせない
依存心の強い母に愛想を尽かして父親が出て行ってからというもの、
母の男性依存はますます悪化の一途を辿るばかりだった。

女手一つで子どもを育てていくのは並大抵のことではない。
母は夜の仕事で生計を立てていた。
頑張る母の姿に俺は心から感謝していた。


だがそこで出会った男性にすぐ恋に落ちては家に連れ込む、
気が付けばそんなことが日常的に繰り返されるようになっていた。
小さかった少年にはそれがどういうことなのか、まだよくわかっていなかった。

少しずつ成長するにつれ、やがて母がしていることが理解できるようになってくる。
それと同時に母がとても汚らわしく見えるようになっていった。


「ん・・・・あぁっ!!」


学校から帰宅した家で大人の男と女が裸で絡み合っている。
そんな姿を初めて目の当たりにしてしまったのはいつだっただろうか。
酒に酔った母は冷静な判断など何も出来ず、
俺の姿を認識してもその行為をやめることはなく、それどころかさらにその行為に溺れていった。
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