サヨナラなんて言わせない
「2年近く前、俺が独立するときに決心してたんだ。いつか必ず涼子を迎えに行くって。絶対にこの手に取り戻すって。・・・・・その時から、いや、本当は3年前のあの時から俺の気持ちはもう決まってた。・・・涼子、君と家族になるって」

「司・・・・・・」

堰を切ったようにボロボロと涙が溢れ出す。
彼女はそれを拭うこともせずに震えながら俺を見つめるだけ。
俺は両手で彼女の左手を握り直すと、軽く深呼吸してからもう一度言った。

「三国涼子さん、俺と結婚してください」

止めどなく溢れる涙が音を立てて落ちていく。
それはキラキラと、手元で光る指輪に負けないほどに美しい。

やがて彼女はそれ以上に美しい満開の花のような笑顔を見せた。


「・・・・・はい。よろしくお願いします」


・・・・あぁ、ようやく。
俺の夢が本当に叶うときがきた。
涼子・・・・君を信じ続けてよかった。


「涼子、ありがとう・・・・・一生大切にすると誓うよ」

「・・・・うんっ・・・」

涙でまともに呼吸もできない彼女を抱きしめると、すぐに彼女の手も俺の背中に回された。それはしがみつくように凄い力で。俺も負けないように彼女に回した手に力を込める。
そうして髪の毛一本も通れないほどピタリと密着すると、互いの存在を確かめ合った。
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