サヨナラなんて言わせない
エピローグ
***

「あ、こっちこっち!」

「遅くなってごめんなさいっ!」

手を振るカナに気付いた涼子が改札から息を切らせながら駆けてくる。後ろから見知った顔と初対面の面々も。

「初めまして!社長の片腕を務めてます、岡田亮輔と言います。涼子さんのお噂はかねがねお伺いしてました!今日はお会いできて嬉しいですっ!!」

涼子達が目の前に辿り着くと、間髪入れずに岡田が一歩前に出た。
まだ肩で息をしながらも涼子はニコッと笑って会釈する。

「初めまして、三国涼子です。私も岡田さんのお話はお伺いしてます。いつも彼を支えてくださって感謝してます。今日はわざわざありがとうございます」

「は・・・はいっ!!」

眩しいほどの涼子の笑顔に岡田の頬がうっすら赤く染まり口元が緩む。
俺はすかさず涼子の肩を引き寄せると岡田を一睨みした。

「おい、岡田。変な気は起こすなよ?」

「ち、違いますよっ!誤解です!何も考えてませんからっ!!」

図星だったのか、岡田は慌てて首を振って否定する。そんな俺たちのやりとりなんか気にも留めず涼子はカナと楽しそうに談笑し始めた。


「相変わらず独占欲の塊で愛想つかされてませんか?」
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