サヨナラなんて言わせない
彼女が帰ってきたんだ!
俺は疾風の如く玄関へと駆けていった。

予想通り、そこには涼子の姿があった。

「っ涼子さん、本当にすみませんでした!僕・・・ってずぶ濡れじゃないですか!早く拭かないと・・・」

あれからずっと外にいたのだろうか、彼女は全身ずぶ濡れだった。
急いでタオルを取りに行こうと動き出す前に、既に彼女は俺の横を通り過ぎようとしていた。

「涼子さ・・・・」

彼女はそのまま一度も俺の顔を見ることなく部屋へと入っていった。
顔を見るどころか存在自体を完全に消されていた。
滴り落ちて引き摺るように廊下に残された雨水だけが、彼女が確かにここにいたということを証明していた。


ショックを受けている場合ではない。
あのままでは風邪をひいてしまう。
この寒空の下全身ずぶ濡れだったのだ。しかもいつからかもわからない。

俺はすぐに次にすべき行動に移った。
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