トキトメ
 そんなグラスに、ほんの少しだけ口を付ける彼。

「ちょっと前田くん、それだけ? 私のお酒が飲めないっていうの?」

 彼の態度に何だかイラッとした。

 私やっぱり酔ってる??

「リーダー、今日は本当に飲めませんって」

 ガンッ!

 彼が、テーブルに強くグラスをおろした。

 えっ? 

 怒ってる? 

 彼は、ひるむ私の肩を抱いた。

 何、何、何?

「!!」

 えっ?

 私、キスされてる?

「な、なにするの! みんなが見てるでしょ!」

 何とか彼を押し返し、周りに目をやって唖然とした。

 料理を口に運ぼうとしている人、隣の同僚と笑顔で何か話そうとしている人、そ
の誰もがピクリとも動かない。
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