「異世界ファンタジーで15+1のお題」五
「そいつらに、壁抜けを見せろとか言われなかったか?」
「言われたよ。
いつからそんな風になったのかだとか、他にどんなことが出来るとか、健康状態はどうかとかいろいろ訊ねられた。
でも、もちろん、壁抜けはしてみせなかったし、詳しい事は話さなかった。」
「壁抜け…!?シンファ、君、そんなことも出来たの?」
アズロが興味深げに、僕とライアンの話に割り込んだ。
「うん。
母さんを触れることが出来るようになった時、もしかしたら…って思いついたんだ。
つまりね、精神を集中させると普段は触れないものに触れられるようになるから、その逆のことも出来るんじゃないかって考えたんだよ。
僕は物には普通に触れるから、触らないってことも出来そうに思えたんだ。
ほら、ゴーストはよく壁を擦りぬけて部屋の中を自由にうろついたりするってイメージがあるじゃないか?
それで、やってみたら本当に壁を擦りぬけられたんだ。
ちょうどその時、ロイドさんがをその様子を見ててね。
でも、ロイドさんはずっと昔から村に来てた人だし、僕のこともよく知ってた。
今までだって、他所で僕のことを話したことなんてなかったし……だから、心配なんてしなかった。」
「……そうだよな。
あの人…悪い人じゃないんだ。
ただ、あの壁抜けにはきっと相当びっくりしたんだろうな。
そんな時に、たまたまいつもより酒を飲み過ぎて、それでつい口が滑った…
きっと、そういうことだと思う。
大変なことを言ってしまったって、ロイドさん、酷く落ちこんでたよ。」
ロイドさんの様子が目に浮かぶようだった。
もうけっこうなお年で何年か前からもう仕事は引退だと言いながら、なかなかやめられなくて…
人が良くてすぐにおまけをしてくれて、村に来ても皆とおしゃべりばかりしてて…
お孫さんは遠くの町にいて滅多に会えないから、僕を見ると孫と会ってるようで嬉しいなんて言って……
(そうだよね…きっと悪気はなかったんだ…)
ロイドさんが僕のことでもうこれ以上、心を痛めないでほしいと思った。
「それでな、軍の方からおまえを軍に差し出せば、村に教会を建ててやるって条件が出された。
もちろん神父も赴任させると。」
「きょ…教会を…!?」
「あぁ、そうだ。
軍はなんとしてもおまえのことがほしかったんだろうな。
しかし、おばさんはおまえに戦争の手伝いなんてさせたくはないし、何より戦地に行かせたらどんな目に遭うかもわからない。
だから、絶対に行かせたくないと、村の皆に協力を求めたんだ。
もちろん、その申し出をいやだなんて言う者は一人もいなかった。」
「言われたよ。
いつからそんな風になったのかだとか、他にどんなことが出来るとか、健康状態はどうかとかいろいろ訊ねられた。
でも、もちろん、壁抜けはしてみせなかったし、詳しい事は話さなかった。」
「壁抜け…!?シンファ、君、そんなことも出来たの?」
アズロが興味深げに、僕とライアンの話に割り込んだ。
「うん。
母さんを触れることが出来るようになった時、もしかしたら…って思いついたんだ。
つまりね、精神を集中させると普段は触れないものに触れられるようになるから、その逆のことも出来るんじゃないかって考えたんだよ。
僕は物には普通に触れるから、触らないってことも出来そうに思えたんだ。
ほら、ゴーストはよく壁を擦りぬけて部屋の中を自由にうろついたりするってイメージがあるじゃないか?
それで、やってみたら本当に壁を擦りぬけられたんだ。
ちょうどその時、ロイドさんがをその様子を見ててね。
でも、ロイドさんはずっと昔から村に来てた人だし、僕のこともよく知ってた。
今までだって、他所で僕のことを話したことなんてなかったし……だから、心配なんてしなかった。」
「……そうだよな。
あの人…悪い人じゃないんだ。
ただ、あの壁抜けにはきっと相当びっくりしたんだろうな。
そんな時に、たまたまいつもより酒を飲み過ぎて、それでつい口が滑った…
きっと、そういうことだと思う。
大変なことを言ってしまったって、ロイドさん、酷く落ちこんでたよ。」
ロイドさんの様子が目に浮かぶようだった。
もうけっこうなお年で何年か前からもう仕事は引退だと言いながら、なかなかやめられなくて…
人が良くてすぐにおまけをしてくれて、村に来ても皆とおしゃべりばかりしてて…
お孫さんは遠くの町にいて滅多に会えないから、僕を見ると孫と会ってるようで嬉しいなんて言って……
(そうだよね…きっと悪気はなかったんだ…)
ロイドさんが僕のことでもうこれ以上、心を痛めないでほしいと思った。
「それでな、軍の方からおまえを軍に差し出せば、村に教会を建ててやるって条件が出された。
もちろん神父も赴任させると。」
「きょ…教会を…!?」
「あぁ、そうだ。
軍はなんとしてもおまえのことがほしかったんだろうな。
しかし、おばさんはおまえに戦争の手伝いなんてさせたくはないし、何より戦地に行かせたらどんな目に遭うかもわからない。
だから、絶対に行かせたくないと、村の皆に協力を求めたんだ。
もちろん、その申し出をいやだなんて言う者は一人もいなかった。」