暴走族に恋した私
「なんで、怪我してるか言え。」
仁の低くてきれいな声が、二人の間に響く。
言ったら、どうなるんだろう・・・。
でも、やったのは白石ちゃんだって言えない。
彼女がそんなことしたの知ったら、きっと仁は傷つく。
「こけた。」
「本当の事言えよ。」
「だから、こけたんだってば!!」
強めの口調で、仁に言い放った。
あっ、ちょっと今のは言い方がキツかったかもしれない。
「そうかよ・・・。」
「そんなに、俺に言いたくないのかよ。」
仁は顔をゆがませて、何かを呟いた。
私には、聞こえなかった。
けど、こうやって苦しそうな表情なのは、私のせいなんだということが分かった。