神様の憂鬱
コポコポと、お湯を注ぎ込む音が聴こえた。

香ばしい匂いが鼻につく。

カチャン、と小さな音が響いた。

それを合図にボクは身体を起こす。

ふぁー、と眠そうな欠伸をすることも忘れずに。

結構、人間らしさが様になってきたでしょ。

「あ、ごめん。起こしちゃった?」

紗良奈が微笑みながら訊いてくる。

「ん、平気。うとうとしてただけだから」

うとうと、って言葉は、いつだったか人間が言っていたもの。

使い方は間違っていないはず。

「そう、ならいいけど」

ほらね。

「コーヒー飲む?」

「飲む」

両手を出して受け取り、湯気の中に口をつけた。

紗良奈は、目を細めてそんなボクを見ている。

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