神様の憂鬱
夜以外は普通なのにな。

ぼんやりと見つめながら考えた。

朝も昼も、夕方くらいまではいたって普通。

泣き出したりしないし、死にたいとも口にしない。

ただ――

弁財天のところでお参りしたあとだけは、ほんの少しさびしげに微笑む。

あきらかに元気がない。

だから心配になる。

――ちょっと待って。

――心配?

ボクが?

紗良奈を?

たかが人間の娘風情(ふぜい)を、心から心配しているわけ?

そもそも、これは天歌から仕掛けてきたゲームだろ。

本当は紗良奈のことなんてどうでもいいはずで、

彼女の悩みをボクに打ち明けさせることが計画。

そのために、こうしてそばにいるわけで。

自分の心の中に気がついて、微かに眉をひそめた。

< 133 / 200 >

この作品をシェア

pagetop