神様の憂鬱
すると、

「苦すぎた?」

「いや、大丈夫」

作り笑いを浮かべて、コクコクと飲み干す。

しばらく彼女はボクをちらちらと見ていたが、今はテレビのニュースに夢中らしい。

隊列を組んで歩くカルガモの映像を眺めては、微笑んでいる。

「ねえ」

声をかけると、なに? という顔でボクを見た。

なんだか心の中がもやもやする。

自分が彼女に対して悪いことをしているような気にさせられる。

別にそんなつもりはないはずなのに。

「今日もお参り、行くの?」

「ええ、行くけど。どうして?」

「どうもしないよ。じゃ、行こう」

「いいけど」

不思議そうに首をかしげながら、紗良奈が立ち上がった。

「着替えてくるね」

そう言って自分の部屋に入っていく紗良奈の後姿を眺め、心の中で呟いた。

ボク――

ナンカ変だ。

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