元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「私?めぐる!土屋めぐるだよ」
だけど彼女はそんな私に気にすることもなく、相変わらず微笑んだまま名乗った。
「…、土屋、さん何か用?」
私は冷たいまま。
知らない人に優しくできるほど、私は器用な人間じゃないから。
「えー?私のことはめぐるって呼んでよ!ね?」
下の名前で呼んで、と強要してくる彼女は強引な性格なんだろう。
…こういう子、苦手だ…。
それに、私は用はなにって聞いているのに。無視か。無視なのか…。
「…用は何。」
なるべく早く、事を済ませたいの。
だって、関わりたくないもの。
私に友達なんて要らない。必要ない。むしろ、日常生活に差し支えるものだと私は思っている。
『冷めた子供』
いつの日か、近所の人々に言われた言葉。
別に私は気にしていなかった。
だって、気にしたって無駄なだけ。
だから、余計な考え事はしない。
…こういうところが、冷めてるって言われるのかな…。
「…、」
ほら、ね。
この子だって、そう。周りの人間と同じ反応をするの。もう、慣れたよ。
「…っすごーい!二年生なのにもうそんな大人っぽいの!?いいな、いいなぁ!羨ましいっ!!」
…え。
…なんで。
この子は、周りの人間と同じ反応をしないの。
目の前にいる彼女は瞳をキラキラと輝かせてる。
…わからない。
突き放した筈なのに。