元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「めぐ、る…?」
「…っ」
唇を噛み締めためぐるは、私の言葉に返答することはなく、生徒玄関の方向へと走り出してしまった。
「めぐる…っ!」
私はそれを、ただひたすら追う。
「…っはぁ、はぁっ…」
数分走ると、生徒玄関でめぐるの足が止まった。
「めぐる!!」
だけど、私の呼び掛けには答えてくれない。
いくら名前を呼んでも。
めぐるは、私を視界の中に入れることすらしない。ただただ無言で、私に背を向けるだけ。
「…………………よね。」
「え…?」
突然めぐるが、ポツリと呟いた。だけど私には聞こえず、聞きなおす。
「良かったじゃん。海崎くんに可愛いって言われて。良いよね、桜は。」
「…めぐる?」
「私は惨めなんだってさ!そりゃそうだよね!桜の横に並んでたら嫌でもそうなるよね!」
一方的に喋り続けるめぐる。
落ち着いたかと思うと、私の方へと視線を向ける。