恋愛応援部

3

るんるん。
軽く鼻歌を歌いながら私は学校内の花に水を挙げていた。
これが私の日加でもあった。先生達は助かると言ってくれるけど私は人の役に立つために水をやっているんじゃない。
柳君達には部活とごまかしたけど、本当は部活何かやっていなかった。
運動神経が少しいいからって部活をする気にもなれないし、勉強だって……
何故か日常に暇を感じていたのかもしれない。
そんな時花に水を上げると少しでも落ち着くことに気がついた。
花に囲まれると気持ちが楽になって、生きてるって感じるんだ。
どんな楽しい会話をするよりづっとこっちの方が楽で良かった。
「おーい吹喜」
私を呼ぶ声が庭一面に広がった。
「ど、どしたの?柳くん……」
「これ……携帯忘れてたからさ……」
息を切らしながらも携帯を差し出してくれた。それは私の携帯であった。
「あ、ありがとう!私忘れてたのかな?」
私がその携帯を受け取ると握りしめていたのかほんのり温かさを感じた。
「お前さー何で嘘つくの?」
暫くだって柳君が私にそんな事を言い出しす、私はすこしギックっとした。
「嘘って?」
「ホントは部活なんてやってないんだろう?」
私は俯き携帯を握った。
「皆そう……理由がないと話を中断しちゃいけないみたいに、理由がないと遊びを断っちゃいけないみたいに……
私にはずっと皆と一緒にいるなんて耐えられなかったの……」
私の目から何故か涙がこぼれてきた。苦しいわけじゃないのに、どうして……?そんな気持ちでいっぱいだった。
「あるじゃん理由……花に水あげに来たんだろ?」
柳君は空を見上げてそういう。
俯いていた私も空を見上げた。涙でくすんでよく見えないけど、それは確かに雲一つない青空だった。
「花にはお前が必要だよ、お前とこの晴れた空が……」
「柳君……」
私は初めて出会ったのかもしれない、はじめて気持ちを打ち明けられた人に……
初めて出会ったのかも知れない、こんなに心に……
「じゃーな」
そう言って携帯を私に渡すと柳君は手をふってドワへと向かって言った。
「優しいんだね……」
柳君には聞こえないくらいの小さな声で私は呟く……。


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