散る頃に咲く花

ばっ!

「へっ!?」

すると今度は急に顔を覗き込まれた。

「今笑ったよね?」

沖田のまだほんのり赤い顔が目の前にある。

「あ~あ、見逃しちゃったよ」

沖田が悔しそうに言う。

青葉はまた笑った。

「沖田様」

愛おしい人の名前を呼びながら。

「青葉、綺麗だね」

次に顔を赤くするのは青葉の番だった。

それでも、青葉笑い続けた。

愛おしい人の目を見つめて。

沖田はそんな青葉を優しく、強く、抱き締めた。
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