散る頃に咲く花
人の死

「すまんな、医療担当の俺が、怪我するなんて、まるで笑い話や」

江戸行きの船の中でよわよわしく青葉に話しかけるのは、観察方の山崎丞だった。

「怪我は、誰だってするものですよ。だから安静にして、良くなってくださいね」

青葉は一旦部屋を出て、沖田のもとへ向かった。

「薬です。残さず呑んでくださいね」

青葉は沖田が薬を飲み終えるのを見ると、また山崎の部屋に向かった。

「青葉ちゃん、来て早々大変だな。手伝える事があれば何でも言えよ?」

そう言ってくれるのは永倉だった。

「ありがとうございます。けど、大丈夫ですよ。女中ですから」

そう言って微笑むと、山崎の部屋に入った。
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