迷宮ラブトラップ
その機会は突然やって来た。
今年一年生になった長男の初めての参観会を午後に控えたその日に、朝から腰痛で動けなくなってしまったのだ。
昔やったいわゆるぎっくり腰の再発。
藁にもすがる思いで遼也に連絡をとると、朝イチで診てくれるという。
痛む腰をだましだまし診療所に行くと、丁寧に診てくれた。
あんなに痛くて動けなかった筈が、なんとか普通に歩けるまでになった。
「せっかく綺麗な格好しているんだから」
とフェイスアップやウエストシェイプのオマケ付きで。
今回は緊急事態という事でブラウスにスカートという格好のままだったが、ちょっとじっくり診てもらいたいという欲が出てきた。
参観会という事で普段よりきれい目の格好をしていたが、それを褒めてもらえたことも何だか嬉しかった。

 お陰で午後の参観会も言われた通りコルセットを絞め、苦痛なく参観することが出来た。

瑞香は夫にその状況を簡単に説明した。
痛みがなくなった事、身体が大分疲れているので定期的に診療所に行きたいという事。
優しい夫はあっさりと了承してくれた。
「だって必要でしょ。」
と。
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