中距離恋愛
それからも笠井くんは誘ってくれた。
彼が誘ってくれるのは、いつも土曜日。他の日は全くない。
必ず駅で待ち合わせて、彼の車で移動。
映画だったり、水族館だったり、プラネタリウムにも連れて行ってくれた…。
でも、それだけ…
¨好き¨だとも、¨付き合って¨とも言われていない。
すごく曖昧な関係。
いや…
ちょっとだけ変わった。
彼が私のことを『夏帆』と名前呼びになったことと、帰り際、キスをするようになったこと。

その日もデート(?)の帰り際、そっと触れられた唇。
いつもと違うのは、離れても角度を変えながら何度も触れてくること。
そのうち、彼の舌が歯列をなぞり、私の舌をも絡め取る。

「…か、さいく…ダメっ…」
唇が離れたときに彼の胸を押して、より深くなるキスを止める。

「……どうして?…夏帆、俺のこと嫌い?」
「……嫌いじゃないけど…」
「じゃあ、抱いてもいいよね?」
「……えっと、ごめんなさい…。まだ心の準備が…。
と言うか、まだお互いの気持ちも確認してないままでは無理です…」
自分の気持ちを正直に伝えた。


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