中距離恋愛
そのとき、何か嫌な思い出でもあるのか、夏帆の表情がフッと曇った。
それから、考え込むような顔になる。
植田さんも気づいたのだろう。
「…夏帆。どうした?意識飛んでるよ!」
そう話しかけると、
「…ん。ごめん、大丈夫だよ」
と夏帆は答えた。

「…どうした?
今頃、俺と付き合っていたこと、思い出した?」
なぜか俺を挑発するように俺を見ながら言う。
「…剛と付き合ったら、いつかは俺と会うこともあるって、分かっている よね?」
次は夏帆に視線を移す。

大地を見ていた夏帆は、大地と見つめ合う形になって、慌てて目を逸らしていた。
「夏帆。そんなに急いで逸らさなくてもいいじゃん?
俺のこと意識してるのバレバレだよ?」
大地が夏帆に言う。

「……大地。
夏帆につっかかるなよ。お前たちが付き合ってたの知ってて、それでも夏帆を好きになって、俺たちは付き合っているんだから」
俺は夏帆を庇うように、彼女の肩を抱き寄せながら言った。

こちらを見上げる夏帆に頭をポンポンとした。
俺が夏帆を見ると、夏帆も俺を見つめていた。



< 143 / 317 >

この作品をシェア

pagetop