中距離恋愛
そして今度は、まっすぐに夏帆をみつめた。
俺を見ていたらしい彼女は、不自然に俺から目を逸らした。

「夏帆。そんなに急いで逸らさなくてもいいじゃん?
俺のこと意識してるのバレバレだよ?」
そう言うも夏帆は俯いたまま。

その時、
「……大地。
夏帆につっかかるなよ。お前たちが付き合ってたの知ってて、それでも夏帆を好きになって、俺たちは付き合っているんだから」
夏帆を庇うように、剛が夏帆を抱き寄せながら言った。

顔をあげて、剛を見つめる夏帆。
そんな夏帆の頭をポンポンとし笑顔を向ける剛。
安心したように微笑む夏帆。

俺と付き合っていたときとは違う。
2人の間に、確かな愛を感じた。
そして、剛なら夏帆を任せられると思った。

「あー、はいはい。
まだ私と早瀬先輩がいるんだから、イチャイチャしないでください。
その代わりに…、篠田さん。今日は夏帆を連れて行っていいので。
1ヶ月会えなくて寂しかったと思うので、たくさん甘えさせてあげてくださいね」
植田さんが剛に言う。
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