CHECKMATE


一見、どこにでもあるような歯科医院。
入口のガラス戸からこっそり中の様子を窺うと、淡い水色のナース服を着た若い女性が受付で電話応対していた。

2階の階間取りを確認した千葉は、気を引き締め直し3階へと向かおうと階段口へ差し掛かった。

その時、カツカツと軽快な足音が耳に届く。
差ほど高くないビルであるが、エレベーターがある以上、大抵の人間がそれを利用する。
なのに、今まさにリズミカルな足音が段々と近づいて来ている事に気付いた千葉は、咄嗟に階段口の扉の背に隠れたのであった。

蝶番(ちょうつがい)の隙間からその音の主を確認すると。

「あっ、あれは……確か、尾島組の……」

千葉が見た男は暴力団・尾島組の組員であった。

「あれは何だ?………もしかして、例の……?」

男の手には直径20㎝程の茶紙の袋が握られていた。
すぐさまそれが『脱法ハーブ』だと睨んだ千葉は、一息置いてから階段を駆け下りた。

そして、男の後を追う事、数分。
とあるビルの中にその男は姿を消した。

「ここが………アングラか?」

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