CHECKMATE
「……―――………という事にして貰いたんだけど、いい?」
「っ………、あぁ、分かった。口裏を合わせたらいいんだろ?」
「うん、お願いね?」
夏桜の言葉にドギマギする千葉。
彼女の顔が間近にあるせいなのか、それともここが婦人科だからなのか、分らない千葉であった。
すると、
「千葉さん、千葉夏桜さん。1番診察室にお入り下さい」
「あっ、はい」
看護師の呼び掛けに反応するように腰を上げる夏桜。
千葉と夫婦を装う為に『千葉夏桜』という偽名にしてある。
夏桜の後を追うように千葉も1番診察室に入る。
婦人科では夫婦で診察や検査、治療を受ける場合が多々ある。
これは夏桜の提案で、千葉も同行する作戦である。
病院から出た2人は車に乗り込み、本庁(警視庁)に向う、その車内で……。
「さっき医師が言ってた検査結果だが、いまいち分からなかったんだが、何か問題でもあったのか?何だか執拗に治療を勧めてた気がするんだが、お前の病気がバレたんじゃないのか?
「バレたって言うよりも、向こうが本性を見せ始めたのよ
「え?」
「私が仕掛けた罠に、まんまと食いついて来たってわけ」
「はっ?………いつの間に、罠なんて仕掛けてたんだよ。俺は探ってるとしか思ってなかったぞ?」
「そうね、それも間違いじゃないわ。探りは入れてるわ。でも、それだけじゃない。相手の出方を見てる所よ」
「…………恐ろしい女だな」
「あら、今頃気付いた?」
しれっとした顔で不敵に微笑む夏桜。
天才化学者の脳で考えている事が計り知れない千葉であった。