CHECKMATE


数時間が経過。
張り込んでいる先の婦人科も診療時間が終わり、次々とスタッフが帰宅していく。

「班長っ、例の医師が出て来ました」
「病院内に残ってるのは?」
「…………いないみたいです」
「そうか」

千葉は剣持と水島にメールを送る。
剣持は千葉達がいるビルの駐車場で待機しており、水島は医師の自宅があるマンションを張り込んでいる

婦人科の医師は、寄り道もせず自宅マンションへと帰宅した。
マンションの駐車場脇に車を止めた剣持は、張り込んでいる水島と合流。

医師が自宅へと帰宅したことを明かりがついたことで確認した2人
剣持がそれを報告するため千葉に電話を掛けた、その時。

「おいっ、………今の男」
「ん?」

運転席に座る水島が、剣持の腕を軽く叩いた。
水島の視線の先には、黒っぽいキャップを被った長身の男とみられる人物がマンションのエントランスへと向かっている。

すかさず双眼鏡を取り出した水島
エントランスでオートロックの暗証番号を入力する人物の横顔を確認する。

「ッ?!」
『もしもし?………猛?………どうかしたのか?
「あっ、一輝さん、ちょっと待って下さいっ!」
『ん?』

水島から双眼鏡を受け取った剣持は、自分の双眸で確かめる。

「んっ、マジか?!」
『おいっ、何かあったのか?!』

スマホのスピーカーから千葉の声が漏れている。
剣持と水島の視線は、自動ドアの向こうへと姿を消した人物へと注がれていた。

「えっとですね、一輝さん。その………」

思いがけない展開に、一瞬言葉を失った剣持。
呼吸を整えて言葉を発しようとした、次の瞬間。

『あっ、えええっ?!』

突然、スピーカーから夏桜の発狂する声が漏れて来た。

『ちょっとこれ見て!』
「一輝さんっ、どうかしたんですか?」

尋ねられていたはずの剣持だが、電話の向こうも異常事態のようだ。

緊急を要しない剣持は、千葉達の様子を伺うことにした。

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