CHECKMATE
千葉は、ハッキングに遭っていることや昨夜の尾行らしき存在を話した上で、白い箱を開けた。
「あ、それって………」
夏桜の視線の先には、お気に入りのトートバッグに付いていた手作りチャームが。
「何でそれを……?どこで拾ったの?」
失くしたと思っていたチャームが目の前に現れたものだから、夏桜が当惑するのも無理はない。
「拾ったんじゃなくて、俺が拝借してたんだ」
「………何で?」
困惑する夏桜の膝上からバッグを手に取り、千葉は持ち手部分にチャームを取り付けた。
「夏桜には悪いが、24時間俺が傍にいるとは限らないから、万が一の時の為に発信機を内蔵させた
「えっ?」
「真新しいものだと、いかにもってな感じでバレるから、少し使用感がある方がいいらしい
「だから、………これに?」
「…………ん。それと、…………これも」
千葉は夏桜の足元に手を伸ばし、履いているプレーンパンプスを脱がす。
そして、甲の部分にフラワーモチーフの飾りを取り付けた。
「うん、違和感ないな」
「これも、発信機?」
「………あぁ
「ここまでしないとダメなの?」
「念には念を入れておいた方がいいと判断したのは俺だ」
「………分かったわ。気を遣わせてごめんなさい」
「謝る必要は無いだろ。何かあると決まった訳じゃないし、何も起こらなければ、それに越したことないんだから」
「………ん」
もう片方のパンプスにも飾りが取り付けられた。
そのパンプスを手にして、千葉は夏桜の足にそっと履かせる。
「ッ?!………自分で履けるわ」
「いいからじっとしてろ」
不安を掻き消すかのように優しくする千葉。
だが、靴を履き終えた夏桜を真っすぐ見据え、千葉はゆっくりと口を開いた。