CHECKMATE


元の部屋に戻った千葉は頭を抱え、ソファーの上で胡坐を掻いた。

「状況は把握出来た」
「………ん」
「一つ確認するが……」
「…………何?」
「他に、隠してることは無いよな?」
「……………ん」

千葉は念を押すように鋭い視線を向けてくる。

「じゃあ、一言だけ言っておく」
「…………はい」
「頼むからっ、……一人で抱え込むな」

いつだって千葉は優しい。
目では威嚇していても、結局は夏桜のことを最優先してくれる。

そんな彼に、夏桜はまた一つ嘘を吐いた。

闇の組織から、タイムリミットを予告されていることを。
言ったところで何も変わらない。
夏桜がデータを持っている間は、世界中どこへでも追いかけてくるだろうから。

データを隠滅し、この命が尽きる時まで………安息の時は訪れないだろう。
夏桜は心に蓋をして、千葉を安心させるように振舞った。

その晩、河村真希への対応を話し合い、かなり危険ではあるが、千葉はとある提案を真希に持ち掛ける事にした。

自分名義の携帯やPCは全て監視されていると睨み、真希は母親にプリペイド携帯を購入させ、その携帯から夏桜に連絡をして来たのである。

「先輩、無理しないで下さいっ!彼が言ってることは、かなり危険を伴うんですよ?下手したら、先輩の命だって………」
『分かってるわ、そんなこと。でも、………データを渡さない限り、同じだと思うから。今更だけど、少しでも罪を償いたいの。これからもずっと、………夏桜と一緒にいたいから』
「先輩っ………」

夏桜に打ち明けたことにより、吹っ切れた様子の真希。
千葉という味方も加わり、勇気が持てたようだ。

夏桜は唇を噛みしめ、膝の上でぎゅっと握られた自分の手をじっと見つめていた。

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