CHECKMATE


「いい加減、勘弁して下さいよ~」
「勘弁してやりたいのは山々だが、生憎俺はお前無しでは生きて行けそうもない」
「またそんな事を…………。その口説き文句、聞き飽きましたよ」
「………そうか?」

いつの間にか蜥蜴を無視して卓上の牌を手にした千葉。
蜥蜴の番になったのを察して、代わりに牌に手を伸ばしたのである。

「おっ!!さすが、俺。『リーチ一発ツモ!』」

千葉は勝ち誇ったように笑みを浮かべ、蜥蜴の腕を掴んだ。

「悪いな、こいつをちょっと借りて行くな?……直ぐに返すから」
「もう!!千葉さんって、彼女いないでしょ?」
「あぁ?………何で分かるんだ?」
「そりゃあ、分かりますよ。いつも強引で一方的だし、自己陶酔型だもん」
「女には優しいぞ?」
「それですよ、それ!!『女』って言ってる時点でダメです。『女性』って言わないと」
「フッ……」

千葉に腕を掴まれた蜥蜴は、渋々千葉の後をついて行く。

非常階段へと移動した2人は一瞬で雰囲気を変えた。
それはまるで………魂の取引でもするかのように。

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