CHECKMATE
「体調はどうかね?」
「……………安定しています」
「……そうか」
振り返る事無く、窓の外を眺めたまま語りかける所長。
夏桜は、感情を殺して見つめていた。
「河村君から、話は聞いたかね?」
「………はい。詳しい事はまだですが……」
「……そうか」
言葉の端々に苦渋の色が滲んでいる。
夏桜は小さく息を吐き、口を開いた。
「私は何をすれば宜しいのですか?」
それは、国家公務員としての言葉でなく、『東 夏桜』という人物に背負わされた宿命とでもいうべき発言だった。
夏桜はギュッと拳を作り、所長の言葉を待っていると。
「『一、研究員』としてここに置いておくには限界がある。例の組織が再び動き出してな、君の引き渡しを要求して来た。勿論拒否はしたのだが、それでは納得出来ないそうだ。『一、研究員』としてではなく、もっと別の形で君の才能が活かされる事が、唯一君が日本に残れる最低条件となる」
「…………それは、どんな………?」
夏桜の問いかけに振り返った所長。
沈痛な面持ちで言葉を続けた。