CHECKMATE
「普通、ホテルから出て来る時って、2人一緒ですよね?」
「は?」
「あっ、いや、夏桜さん」
「はい」
「そうとも限らないです」
「え?」
夏桜の質問に唖然とする千葉。
世事が疎いとは本人も言ってたが、ここまで疎いとは思いもしなかったのである。
それに対して、剣持は柔軟な姿勢で受け答えをする。
夏桜に解りやすく説明しようと必死に言葉を選んでいる様子。
「入る時は大抵一緒です。ですが、出る際は別々の事もよくあるんですよ」
「そうなんですか?」
「あっ、はい。例えば、不倫をしてたりして、時間差でホテルを出る事でアリバイを作ったりしますし、カラダだけの関係なら、事が終わればその場で別れる事もよくあります」
「………そうなんですかぁ。あっ、でも………」
剣持の説明に納得した夏桜だったが、腑に落ちない点が思い浮かび、再び言葉を濁した。
「何か、思い当たる点でもあるのか?」
千葉は真剣な表情で夏桜を見据える。
『捜査』という点に於いては素人だが、素人なりに見える世界があるのも事実。
現に、夏桜は事件めいた事を無意識に掴んでいたからだ。
先入観が無い夏桜にとって、一つ一つが手掛かりになる、千葉はそう睨んでいた。