CHECKMATE
「東が見たという男は奴か?」
「……あっ、はい。間違いありません」
千葉と夏桜は恋人を装い、バーを後にした女を尾行していた。
クラブ『AQUA』から100mほど離れたビルの谷間で、女の前に大柄の男が現れた。
2人は何やら話し込んでいる。
恐らく、水島との一連のやり取りを報告しているのであろう。
すると、女は急にキョロキョロと辺りを見回し始めた。
千葉は徐に夏桜を抱き寄せ、如何にもそれらしい雰囲気を醸し出す。
「ちょっと、千葉さん、苦しいです」
「悪い、少しの間我慢してくれ」
「………」
「女が周りを見回してるんだ」
「へ?」
千葉達の他にも繁華街には深夜だというのに意外にも人気が多く、千葉と夏桜はその人の中に溶け込んでいた。
辺りを見回していた女は、1台の車に向って物凄い勢いで走り始めた。
すると、車内から男2人に抱えられた女性が姿を現した。
その女性は駆け寄る女の方へ押し出され、倒れ込む寸での所で女に受け止められた。
千葉は夏桜の肩越しにそれらを見据え、夏桜はショップの硝子越しにそれを見ていた。
女2人がアスファルトにへたり込むと、男達は車に乗り込みその場を後にした。