CHECKMATE


「千葉さんも見ましたよね?姉の絵里さんが、自力歩行出来ない状態なのを」
「……あぁ。でもあれは、連中らに暴行されたりしてふらついてるだけじゃないのか?」
「私も最初はそう思いました。けれど、アパートの部屋に入って行く時、外灯に照らされた彼女の顔には明らかに暴行で受けた傷とは違う症候が……」
「確かに赤く腫れてるようにも見えたが、殴られた傷痕とは違うのか?」
「詳しくは断定出来ませんが、他にも気になる点があるので……」
「例えば?」

メンバーは千葉と夏桜のやり取りをじっと聞き入っていた。

「1つ目に自力歩行が困難。2つ目に胸をギュッと掴むような仕草。3つ目に、妹の美穂さんは手先でなく前腕を支えるようにして歩行を促していた点です。そして、4つ目に先程触れた、頬の紅班です」
「………要するに、何かしらの病気を患っていると?」
「はい。…………何かしらではなく、恐らく、………SLE」
「SLE?」
「全身性エリテマトーデスという、慢性炎症性疾患です」

夏桜の言葉に千葉の眉間にしわがよる。

「ホルモン異常やウイルス感染などが誘因となって発症し、全身のありとあらゆる臓器を侵し、様々な症状を呈します」
「様々というのが先程の症状か?」
「……はい。10代から30代の女性に多く、蝶形紅班、光線過敏、多発性関節炎、痙攣や幻覚などの意識障害。更には腎臓、心臓、肺……など、本当にありとあらゆる臓器に病変が見られます。胸を押さえていた状態からして、既に胸痛があるようです」
「昨夜の症状から見て………重いのか?」
「………決して軽くは無いです」

< 87 / 305 >

この作品をシェア

pagetop