CHECKMATE


「そう言えば、夏桜さん、大丈夫ですかねぇ?」
「………疲れが溜まっているのかもしれないな。ちょっと様子を見て来るから、最終確認だけしておいてくれ」
「了解です」

剣持がチラッと奥の部屋のドアに視線を向けた。
セミスウィートのこの部屋には、左奥に寝室がある。
その部屋に千葉は、静かに足を踏み入れた。

『Xデー』の今日、いつも通りに朝早く夏桜を迎えに行くと、明らかに体調の悪そうな夏桜が姿を現した。

千葉はすぐさま体調を尋ねたのだが、夏桜は気丈に『平気です』の一点張り。

そして、正午を過ぎた頃から、時折こめかみを押さえ何度も顔を顰める夏桜に、痺れを切らした千葉が、時間ギリギリまで休むようにと上司命令を下したのである。

ベッドサイドまで静かに歩み寄ると、そこには蒼白い顔をした夏桜がいる。
千葉はそっと額に手をかざし、様子を窺うと。

「………んっ………」

長い睫毛を纏った瞼が、ゆっくりと押し上げられた。

「………千葉……さん?」
「起こして悪いな。気分はどうだ?」

千葉の声に反応するようにゆっくりと上半身を起こした夏桜。
千葉が見ても分るほどに、辛そうである。
だが………。

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