泣きたい夜には…～Shingo～

それからしばらくして、俺とひとみは婚約した。


帰国後、ひとみは湘南医大に復帰し、東京、神奈川の近距離恋愛となった。


相変わらず泣き虫のひとみを宥めに、夜中に湾岸線を飛ばして会いに行くこともしばしば…。


でも苦にならなかった。


涙の後には必ずひとみの晴れやかな笑顔が見られたから。


病院経営の話を断り、MRの道を邁進する俺だったが、義父となる桂川院長からの熱心な口説き（最終的には泣き落としだったが……。）に根負けし、病院経営者への転身を決意した。


長年勤務していた製薬会社に別れを告げ、新年度から湘南医大病院において経営者としての修業を始めることになった。


これで、またひとみと一緒にいられる。


俺は期待に胸を膨らませた。


湘南に戻ることをきっかけに、俺とひとみは同居生活を始めた。


新居は、俺達の出会いの場所。


そう、


かつて俺達が住んでいたマンションだった。



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