泣きたい夜には…~Shingo~



「前よりひと部屋多いタイプなのに、よく空き部屋があったよね?」


荷物の整理をしながら、ひとみが嬉しそうな笑顔を見せた。


引っ越しが一段落し、ホッと一息吐くと、


「慎吾…さん」


突然ひとみが正座をした。


初めて『さん』付けで呼ばれる照れくささも手伝って、


「は、はい」


俺もつられて、ひとみと向かい合うように正座をした。


「ふつつか者ですが、妻として精一杯努力いたします。どうかよろしくお願いします」


三つ指をついて神妙な面持ちで挨拶をするひとみが健気で初々しくて、心が和む。


ひとみの両手を取ると、


「ひとみは無理に頑張ることはない。そのままのひとみで俺は満足だから」


俺の言葉にひとみは目を潤ませ、笑顔を見せた。


あぁぁぁ!!!!


「やばい…やばいって、その顔!」


昼間から俺の理性を飛ばすような顔しやがって。


ひとみの背中と膝の裏側に腕を回した。



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