泣きたい夜には…~Shingo~



「私、本気だった。本気で彼のこと、愛していたのに…

こんなことって悔しい…ううん、悲し過ぎるよあの人にとって私って何?何だったの!!!?」


彼女は俯いたまま必死に涙を堪えていた。


俺は彼女の手を取ると、


「向井先生はもったいないことをしたよなぁ。

こんなに優しいキミの手を離してしまうんだから。女見る目ないよ、いつか必ず後悔…ッ!」


後悔する…そう言いたかったのだが、


それを遮るように、彼女が俺の胸に飛び込んで来た。


お、おい…。


思いもかけない展開に、頭の中が真っ白になった。


「ごめんなさい、しばらく胸貸して」


彼女はそう言うと、俺の胸に顔を埋めて号泣した。


俺はしばらく固まったまま、泣いている彼女を見ていることしかできなかった。


彼女は向井への想いを全て涙と共に流してしまいたいのだろう。


そう思うと、何だか放っておけなくて、彼女をそっと抱きしめた。



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