泣きたい夜には…~Shingo~
「兄は現役で一流医大に入って、医師国家試験に合格した。もう将来は約束されていたのに」
ひとみは体を震わせ、言葉を詰まらせた。
「ひとみ…もういい…」
ひとみの肩を抱き、話を止めさせようとした。
だが、ひとみは首を振って、
「大丈夫だから」
そう言うと、俺の手を握り、まっすぐ俺を見た。
「兄は、私が高校2年の時、高校生の無免許運転のバイクにはねられて亡くなったの。
明日から研修医としての勤務が始まる…そんな矢先のことだった。私達家族は一瞬にして失意のどん底に落とされてしまった」
ひとみは悲しみをこらえようと唇をかんだ。
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