夢のような恋だった

今まで相談に乗ってもらった分、彼女の話をじっくり聞いた。

絆くんと琉依ちゃんは同じクラスで、どうもサイちゃんを振ったことを暗に責めているのかアタリがきついのだそう。


「でも、絆くんもいい子よ。わだかまりが溶けたら仲良くなれると思うよ」

『や、私はアイツ気に入らないもん』


琉依ちゃんは素直にそういう。プイとそっぽを向く姿が想像できて笑ってしまう。


「わかったわ。愚痴りたくなったら電話していいよ」

『うん。ありがとう。……あ、お兄ちゃん、お帰り』


心臓が跳ねる。

まあ確かに、琉依ちゃんと智くんは同じ家に住んでいるのだから、こういうこともあるのかもだけど。
なんか、本人と話したわけでもないのに、距離が近づいた気がしてドキドキしちゃう。


『おみやげ? やったー! 電話終わったら行く!』


元気にそう言った彼女は、続けて小さな声になって私にだけ告げる。


『お兄ちゃん、今帰ってきた。ここのとこ機嫌いいんだよね。たいやき買ってきてくれたんだって。誰かさんと仲直りしたからだよね!』

「あはは」


私との仲直りのせい?
だったら嬉しいんだけど。


『私、今みたいなお兄ちゃんのほうが好き。ありがとね、紗優ねえちゃん』


お礼を言われることなんてない。
むしろ、私のほうが言わなきゃいけないくらいだ。

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