夢のような恋だった

『なんで? お兄ちゃんのこと好きなんじゃないの?』

琉依ちゃんはどこまでもストレートだ。
そこまで単純明快にできれば私だって楽なんだけど。


「うん。好きだよ。……でも、やっと普通に話せるようになったところだし、しばらくは仕事でも関わることになりそうだから、しばらくはこのままでいいかなって思ってる。でも、時間がかかってもいつかは告白するつもり」

『さっさと付き合っちゃえばいいのに。お兄ちゃんだってきっと紗優ねえちゃんのこと好きだよ』


拗ねたような琉依ちゃんの声に、心の中だけで反論する。

六年は長い。
離れていた期間は、やっぱり一瞬で戻るほど簡単ではないと思う。


「……それより、琉依ちゃんは最近どう? 元気?」

『あー元気だよ? でも気に入らない奴が居る。紗優姉ちゃんも知ってる? 絆ってクサイ名前の男』

「絆って、西崎絆くん? 知ってるよ?」

『なんなの、アイツ。余計な口ばっか出してきて』


どうやら、私の知らないところで彼女たちにも変化が起こっているらしい。


『彩治の親友ーって、それは私達だっての。後からしゃしゃり出てきて何言ってんのよ』

「あーでも、絆くんも小さい時からの友達なんだよ、サイちゃんの」

『それでも私と壱瑳の方がずっと仲いいじゃん。そうでしょ!』


今日の琉依ちゃんが若干喧嘩腰なのは、どうやらこの辺りに原因がありそうだ。
でも、そこにヤキモチ焼くのなら、少しはサイちゃんにもチャンスがあるのかな。


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