夢のような恋だった
草太くんは足をダンと打ち付け、「なんなんだよ! お前ら」と吐き捨てた。
智くんはただ静かに彼を睨んだ。
「嫌いって言われたけどどうする?」
「なっ」
「アンタ、モテるんだろ。本当に自信があるんならこんなところで暴れたりしないんじゃないのか」
「それは。……俺はっ」
「相手が俺なら、自分の方が上だっていう自信あるんだろ?
だったら大人しく消えろよ。こんなところで喚いて、紗優を泣かせて何が楽しんだよ」
草太くんは、言葉を詰まらせて舌打ちをする。
「なんなんだよ。人のこと馬鹿にしやがって。紗優もお前も茂も」
「馬鹿にしてなんか無いよ」
これだけは言わなきゃ、と憎々しげな眼差しを向ける草太くんを見つめる。
「私も茂くんも、草太くんの中身を見てるだけだよ。私が悪くないなんて言わない。でもあなただって悪いところあるでしょう?」
「……っ、うるせぇよ。なんで俺の言う通りに動かないんだよ、紗優は」
泣きそうな顔になった、と思ったら草太くんは吐き捨てるように告げて、その場から身を翻した。
階段のところで、サイちゃんが立ちはだかったけれど、草太くんが腕で押しのける。
よろめいたサイちゃんは琉依ちゃんと壱瑳くんに支えられながらも「今度来たら、警察にさっきの動画出すからな!」と叫ぶのは忘れてなかった。
私は、それをまるで映画のフィルムでも見ているような感覚で見つめていた。