夢のような恋だった

睨みつけてくる草太くんは、きっと私のことを侮っている。
強気で押せば折れるから。

今までがそうだったから、だから私を思うように扱おうとするんだ。

でももう引けない。
私は、私より大切な人を傷つけたくない。


「草太くんなんか大嫌い」


ぶわ、と涙が溢れでた。

傷つける言葉を、悪意のある言葉をわざわざ選んだ。
人を敢えて傷つけようとする自分がすごく悲しく思えて。

それでも出来る限りに大声を彼にぶつけた。


「もう来ないで。私にもう触らないで。智くんのこと傷つけないでよ!」


子供の喧嘩みたいに言い捨てる。
私が激高するところをみたことがない草太くんは、驚いたように私を見つめていた。

でも私の感情は収まらない。
不愉快な感情の全てが爆発してもう止められない。

泣きながらわめき続ける私を押しとどめたのは、後ろから抱きしめてくる智くんの腕だ。


「紗優、もういい」

「離して」

「いいんだ。泣くな」

「……良くないよぉ」


泣くなって言われると余計泣けてくる。
それでも、密着した背中から伝わる熱が不思議と私の興奮を冷ましていく。

やっぱり温かい。
この熱が欲しい。

ずっとずっと、この先一生、この熱を無くしたくない。


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