夢のような恋だった
13
 一度アパートに寄って、パソコンでメールをチェックする。

山形さんから仕事の話が一通だ。絵本の方の改稿作業と色確認。私の作業の後、色校正に入って装丁したものを今度は現物でチェックする。

ゆっくり確認したいのに、と思いつつ、実家に帰るといった手前やっぱり今更帰らないとも言えない。
仕方なく、PDFデータをUSBメモリーにいれた。

パソコンがデスクトップなのは、移動したいときに辛い。

イラストの加工をするときはじっくり腰を据えて出来るから、とデスクトップにしていたけれど、今度買い換えるときは考えなきゃ。

とりあえず一日分の着替えと必要そうなものを持って待たせているお父さんの車に乗り込む。


「お待たせ」

「ねーちゃん、ちゃんと鍵閉めた?」

「閉めたよ」


助手席にいるサイちゃんに声をかけ、後部座席に乗り込む。


「出すぞ。紗彩も心配してる」


お父さんは戸を閉めた途端に車を発車させた。



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