夢のような恋だった
エピローグ
*
それから更にふた月が過ぎ、私達は日常を忙しく生きている。
朝日が差し込むリビング。テーブルに並べられていくのは朝食。
向かい合うその席に、彼の姿はない。
私は、ニュースを告げるテレビを話し相手に朝食に手を付けた。
今日は日曜日。
シフト勤務のアルバイトの方はお休みだ。
今は絵本雑誌での連載をもらっている。
先日、絵コンテのコピーを送ったばかりなので仕事的にも余裕がある。
こんな日は珍しいんだけど、運悪く一人。
仕方ないから片付けでもしようか。
茶碗を台所に下げて洗っていると、玄関の方が騒がしい。
もしかして、と期待して駆け寄ると彼が入ってきた。
「あーただいまぁ」
「おかえりなさい。終わったの?」
「なんとか。あー目がシパシパする」
智はプログラミングにもすっかり慣れて、締め切り前になるとこうやって徹夜と泊まり込みの日々が続く。
会うのは実に三日ぶりだ。
「ゴメン、朝食片付けちゃった」
「いや、食いもんはいいや。夜中珈琲飲んでて腹いっぱい」
「そっか。じゃあ寝る? お風呂入る?」
「いや、それより先に」
荷物を受け取ってリビングに行こうとすると、彼が後ろから抱きついてくる。
「んー、紗優の匂い」
「智?」
「三日ぶりだ-。会いたかった」
そのまま髪に落とされるキス。
私だって会いたかったよ。
ぎゅっと抱きつくと彼からは汗の匂い。
お仕事、いっぱい頑張ってたんだね。
「汗臭いよ?」
見上げると、上から今度は唇にキスが落ちてきた。
「いや?」
「ううん」
彼の瞳の中に私、私の瞳の中に彼。
心の中から、ちょっとずつ溜まっていた寂しさや疲れが消えていくのを感じる。
キスがだんだん深くなって、彼の香りが強くなる。
「……やっぱ風呂入ってくる。紗優、今日休み?」
「うん」
「じゃあ後でゆっくりな」
何をよ、とちょっと恥ずかしくなりつつ、内心は嬉しかったり。
それから更にふた月が過ぎ、私達は日常を忙しく生きている。
朝日が差し込むリビング。テーブルに並べられていくのは朝食。
向かい合うその席に、彼の姿はない。
私は、ニュースを告げるテレビを話し相手に朝食に手を付けた。
今日は日曜日。
シフト勤務のアルバイトの方はお休みだ。
今は絵本雑誌での連載をもらっている。
先日、絵コンテのコピーを送ったばかりなので仕事的にも余裕がある。
こんな日は珍しいんだけど、運悪く一人。
仕方ないから片付けでもしようか。
茶碗を台所に下げて洗っていると、玄関の方が騒がしい。
もしかして、と期待して駆け寄ると彼が入ってきた。
「あーただいまぁ」
「おかえりなさい。終わったの?」
「なんとか。あー目がシパシパする」
智はプログラミングにもすっかり慣れて、締め切り前になるとこうやって徹夜と泊まり込みの日々が続く。
会うのは実に三日ぶりだ。
「ゴメン、朝食片付けちゃった」
「いや、食いもんはいいや。夜中珈琲飲んでて腹いっぱい」
「そっか。じゃあ寝る? お風呂入る?」
「いや、それより先に」
荷物を受け取ってリビングに行こうとすると、彼が後ろから抱きついてくる。
「んー、紗優の匂い」
「智?」
「三日ぶりだ-。会いたかった」
そのまま髪に落とされるキス。
私だって会いたかったよ。
ぎゅっと抱きつくと彼からは汗の匂い。
お仕事、いっぱい頑張ってたんだね。
「汗臭いよ?」
見上げると、上から今度は唇にキスが落ちてきた。
「いや?」
「ううん」
彼の瞳の中に私、私の瞳の中に彼。
心の中から、ちょっとずつ溜まっていた寂しさや疲れが消えていくのを感じる。
キスがだんだん深くなって、彼の香りが強くなる。
「……やっぱ風呂入ってくる。紗優、今日休み?」
「うん」
「じゃあ後でゆっくりな」
何をよ、とちょっと恥ずかしくなりつつ、内心は嬉しかったり。