夢のような恋だった
「緊張しなくて大丈夫ですよ。顔合わせという名の飲み会です。参加者は僕と葉山さん。それから僕が担当している一ノ瀬さん。中地先生と担当の矢部も来ます。
ゲーム制作会社の方はプロデューサーの槇さんと制作担当の中山さん。後実働部隊から数人来るそうです」
「わあ、いっぱいですね」
「この機に中地先生とかとも仲良くなっておくといいですよ」
「はい」
確かに、私はどちらかと言えば出不精だから、同じ作家さんとの繋がりも希薄だ。
一ノ瀬さんは私よりデビューが先なので、色々教えてもらう為に山形さんに引きあわせてもらったのだけど、あまり上手に交流出来なかった気がする。
「……頑張ります!」
「はは。じゃあ行きましょう」
山形さんと並んで集合場所に向かうと、女性三人が待っていた。
背の高いスレンダー美人なのが中地先生で、ちょっと太めでショートカットなのが、中地先生の担当編集者の矢部さん。
一ノ瀬さんはふわふわした髪を一つにまとめている。深緑のチュニックを着ているせいか、前あった時よりしっかりした感じに見える。
「すみません、お待たせしました」
「あら、山形ちゃん。遅いじゃないのぉ。一ノ瀬ちゃん、先にきてるわよう」
そう笑いかけるのは中地先生だ。私達より一回りほど年上だけど、朗らかで親しみやすい笑顔で迎えてくれる。