ジャスミン
突然現れた怪し過ぎるいで立ちの二人組。

一人はトレンチコートを羽織り、サングラスに柄物のストールを頭から顎にかけて巻きつけるようにしている女性。

もう一人は革ジャンを首元までしっかり閉じて同じようにサングラスをかける男性。


『……。』

茉莉と颯太郎は呆気にとられ、その二人組を只々見つめる。

『もしかして…？』

茉莉は脳裏に浮かびあがる予感を恐る恐る口にしてみる。

『やっと気づいた？ジャンジャジャ〜ン‼︎』

得意気にサングラスを取る美香に茉莉はもう何も言えない。颯太郎に至っては呆れ果てて何も言葉が出てこない。

『だから俺は辞めようって言ったのに…。』

申し訳なさ気に大樹がサングラスを取りながら苦笑いをする。

『だって〜！どうしても気になっちゃったんだもんっ！』

美香は口を尖らせて言い訳をすると、テヘッと笑って誤魔化そうとする。

『美香。アラサーのその誤魔化し方は残念なだけだからね？』

茉莉はしらけた顔で窘める。
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