ジャスミン
『えっ⁉︎キャッ!』

『せっかく一緒にいるんだから背中合わせじゃ、淋しいだろ?』

余りに可愛い反応に頬が緩みつつ、茉莉の肩に顎を置いて両腕で身体を包み込む。

『…うん。』

彼女なりに気持ちを共感してくれたことが単純に嬉しいと感じてしまう。

『…俺たち大丈夫だよな?』

自分に言い聞かせるような台詞は、心の片隅に燻る不安を消したい気持ちから自然と出た。

『当たり前じゃないっっ。』

その不安感は茉莉にも伝わったのか身体に回された颯太郎の両手をギュッと握って僅かながら震えているように感じた。


『茉莉…。』

颯太郎は茉莉を呼び振り向かせると片手を顎に添えて、もう片方の手で頭を撫ぜるように深く口づけをする。

『んんっ、ふわぁっ、んっ。』

茉莉はいきなりの事で驚いたのか動揺を見せるものの、その激しい口づけに必死で付いていこうとしているようだ。

ピチャ…ピチャ…

湯けむりの広がる浴室で二人が動くたびに湯船の水音と口内が混ざり合う音がリンクして聞こえ始めた頃、惜しむかのように唇が透明の糸を引いて離れる。
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