ジャスミン

〜颯太郎〜

〜颯太郎〜

『幸せボケかよ？ったく！ほらよ。』

呆れたようにコーヒーを颯太郎の目の前に置くと自分も向かい側の席に座り同じようにマグカップのコーヒーに口をつける。

『マグカップって俺客だろ？』

『休憩時間に来ておいて客はないだろ。味は一緒だ、文句言うなよな。』

颯太郎は渋々カップに口をつける。

『それで、心配はない訳？茉莉ちゃん、何たら部長さんたちのお見送りに行っちゃったんだろ？』

言い方はぶっきらぼうだが颯太郎のことを心配しているのだろう。幸太郎は伺うように聞く。

『あぁ、大丈夫だろ。それに俺がいない方がちゃんと別れも言えるだろうしな。』

『へぇー、随分と茉莉ちゃんのこと信頼してるんだ…前までのお前とは別人みたいだな。』

幸太郎はからかうように言いつつも颯太郎の変化を心から喜んでいるようで、互いにそれは何となく通じ合うのはやはり二人が双子だからかもしれない。


『…でいずれは茉莉ちゃんと結婚するつもりなのか？』

幸太郎はカップを机の上に置くと、真顔で颯太郎に聞く。