ジャスミン
『…俺はそうしたいと思ってる。』

『そうか…でもそうするには、越えなきゃならないドデカイ壁があるんじゃないか?』

幸太郎は目を細めながら溜息まじりに諭す。

『あぁ、分かってるよ。直球でいってもあの人は一筋縄ではいかない…お前の力を借りるときも来るかもしれない。その時は頼む。』

颯太郎はそう言うと目の前の弟に頭を下げた。そんな兄を驚きの目で見るが、やがて優しい眼差しを向ける。

『驚いたなお前が頭を下げるなんて。ここまで颯太郎を変えた茉莉ちゃんにも…その時は任せておけ!俺もお前のおかげでこうしてやりたいことをやれてるんだ。感謝してるよ。』

兄弟間で互いを労い合うのは初めてのことで、何とも言い難い照れのようなものがある。互いにそれを隠すかのように同時にカップに口を付けた。


ガチャッバタン‼︎

突然の大きな音に二人とも身体をビクつかせるが、すぐさま音のする方に視線を向ける。

『なんだ…京子か。驚かせるなよ。』

安心したのは束の間、厳しい表情で無言で近付いてくる姿に何かあったことを二人とも悟る。
< 275 / 348 >

この作品をシェア

pagetop