ジャスミン

〜茉莉〜

〜茉莉〜

タクシーが停まり、車の外に出ると冷たい風が茉莉の頬を撫でるように吹いていく。茉莉は顔にかかる髪の毛を手で軽く耳に掛けながら、目の前の建物の中へと足を踏み入れる。


ピンポーン
インターホンを押すとすぐさまオートロックが解除され、目的の部屋に向かって歩き出した。

『茉莉…。』

もう一度部屋の前のインターホンを押そうとするとその前にドアが開き、美香が心配そうな表情を浮かべて出てきた。

『へへ…来ちゃった。』

ぎこちない笑みを浮かべる茉莉に美香は優しく肩に手を置き、部屋へと招き入れるのだった。


『何か飲む?』

茉莉を気遣う美香に今回ばかりは甘えてしまう。

『…カフェオレ貰っても良いかな。』

美香は何かを察したように頷くとキッチンに入っていく。

コポコポ…部屋中にコーヒーの香りが広がり茉莉の緊張した心を解していく。

『はい。』

目の前に湯気いっぱいのマグカップが置かれる。

『…ありがと。』

美香の優しさにお礼を言いながら両手でマグカップを持ち上げる。
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